成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。法定後見制度では、家庭裁判所から選出された成年後見人等が、被後見人本人の利益を尊重したうえで、本人に代わって契約などの法律行為を行ったり、本人の同意判断を補佐したり、本人が後見人の同意なしに行った不利益な法律行為を取り消したりします。この場合、後見人が選出された時点で、本人の判断能力が不十分であることが多いです。一方、任意後見制度では、本人に十分な判断能力があるうちに、自らあらかじめ代理人となる人(任意後見人)を選出し、将来、自身の生活や財産管理、介護などに関する手続きの代理権を与える旨の契約を、公正証書によって結ぶ形になります。この場合、任意後見人は家庭裁判所が選出した「任意後見監督人」の監督下で、本人に代わって法律行為をすることにより、本人の意思を反映した保護・支援を行えるようになります。任意後見制度は公証人を介して利用する制度なので、制度を利用したい人は、公証役場に問い合わせをする必要があります。なお、実際の利用までには、様々な審査などに必要な時間を加味すると、おおよそ4ヶ月ほどかかります。
山本司法書士事務所(青森県八戸市)|任意後見制度の利用方法